揚げ物は、夕食の一品として人気がありますね。
家庭で揚げると、その味わいは一段と素晴らしいです。
しかし、家庭での揚げ物調理で面倒なのが「泡」の発生です。
素材を油に投入するとすぐに、泡がブクブクと出始めます。
なぜこの泡は現れるのでしょうか?
「どうして泡がこんなにも立つのかな?」と疑問に思い、調べてみると、「古い油は泡立ちやすい」という情報が見つかりますが、使っている油は新しいものです。
「安価な油だから泡立つのかもしれない」と思うこともありますが、果たしてその理由は何でしょうか?
揚げ物時の泡の問題点と新しい油でも泡が出る原因は何か?
揚げ物時に見られる泡には、主に2種類があります。
- 揚げ始めに見られる細かな泡は、素材を油に入れた瞬間に「シュワシュワ」と発生します。これは通常の現象で、すぐに消えるため心配はいりません。
- 揚げ途中で出る大きな泡は、油の劣化によるものが多く、再利用した油が粘度を増すことで泡が発生しやすくなります。これは「カニ泡」とも呼ばれています。
新鮮な油を使っても泡が出る理由は、以下の3つが考えられます。
揚げ油が泡を出す主な理由①一度に多くの素材を入れすぎる
新しい油を使用していても、多量の素材を一度に投入すると、油の温度が下がり、油の劣化を早めることで泡が発生します。
揚げ油が泡を出す主な理由②素材からの成分流出
パン粉に使われる卵に含まれるレシチンが油に流れ出ると、泡が大きくなることがあります。特にパン粉の付きが薄い場合に発生しやすいです。
揚げ油が泡を出す主な理由③肉や魚の脂が流れ出る
揚げる際に食材から溶け出す動物性の脂も、泡の原因になります。
新鮮な油を使っていても、これらの理由で泡が出ることがあります。
揚げ物の泡の対処法と泡の進行
新しい油の泡は通常、食材の周りで一時的に発生しますが、食材を取り出すとすぐに消えます。しかし、油の使用が進むにつれて、「油が疲れる」と言われる状態になり、食材を取り出しても泡が残るようになります。
新鮮な揚げ油と使用感が増した油の違いを含む泡の発生原因を解説します。
新鮮な揚げ油の特徴
- 食材を囲むように泡が現れる
- 食材を取り出すと泡は速やかに消える
- 油は透明で流れが良い
- 油自体の臭いがほとんどない
- 煙は230~240℃に達するまで発生しない
使用感のある揚げ油の特徴
- 食材を取り出しても泡が残る
- 更に使用を続けると、鍋全体に泡が広がり食材が見えにくくなる
- 油の色が濃くなる
- 粘りがあり、不快な臭いがする
- 180℃で煙が出始める
泡の状態に応じた対処法は以下の通りです。
新しい油で食材を囲む泡が出る場合
- これは新鮮な油の通常の反応です。特別な対応は必要ありません。
古くなった油で泡が残る場合
- 油が古くなり始めた兆候です。使用後は揚げカスを除去し、油が適度に冷めたら密閉容器に移して保管してください。フタはする必要がありますが、熱いままで密封すると水蒸気がたまるため注意が必要です。新しい油を追加して使うことで、油の寿命を延ばすことができます。
鍋全体に泡が広がる場合
- 油が極めて古くなった状態を示しています。この段階では、新しい油への交換が推奨されます。
揚げ物をサクッと美味しく揚げるための泡の管理方法について解説します。使用済みの油と新しい油の適切な扱い方を学びましょう。
使用済みの油の泡への対応
使用した油を再利用するのは経済的ですが、複数回使用すると油の粘度が増し、不快な「カニ泡」が出現することがあります。見た目や臭いで油が明らかに劣化している場合は、その油の使用を避けましょう。油を保存する際は、使用後の油を濾過し、揚げカスを除去してください。ほとんどのオイルポットにはフィルターがついていますが、油中の小さな異物も劣化を早める原因になりますので、濾過は丁寧に行いましょう。また、古い油を使う場合は新しい油を追加する「さし油」を行い、油の状態を改善しましょう。鍋には油を約3cmの深さまで保つと良いです。
新しい油の泡の管理
新しい油でも泡が発生する場合、対策としては以下の二点が効果的です。一つ目は、一度に揚げる食材の量を減らすことです。食材の量が多すぎると油温が急激に下がり、泡立ちやすくなります。大きな鍋で多めの油を使用し、少量ずつ揚げると、食材はサクッと美味しく仕上がります。二つ目は、必要に応じて油を追加することです。これは古い油にも同じく適用されますが、油の量が多いほど泡立ちにくくなります。ただし、油を追加する際は、油の温度が一時的に下がるため、温度が戻るまで待ってから揚げ始めることが重要です。これにより、泡の発生を抑えつつ、揚げ物を均一に美味しく仕上げることができます。
揚げ物の油が黒くなるのを防ぐ方法とは?
油をきれいに保つ伝統的な方法として「梅干しを使う」、「水分の多い野菜を揚げる」、「水を加えて泡立てる」といった技がありますが、これらは実は迷信に過ぎないとされています。(驚きですね!)
実際には、黒くなった油は元の状態に戻すことはできません。
油が黒くなるのを防ぐためには、以下の手順が効果的です。
- 揚げ終わった油は、こまめに揚げカスを取り除く
- 新しい油を追加する「さし油」を行う
- 揚げた後の油を適温で保管容器に移し、冷暗所で保存する
- 酸化を防ぐため、容器にはフタをして空気の接触を避ける
私自身、以前は油が冷めてから保存していましたが、実は適温の油の方が濾しやすく、保存時の品質も保たれることが分かりました。
今後は、揚げ物を楽しんだ後、すぐに油の片付けをして油の黒ずみを防ぐようにしようと思います。
トンカツ、唐揚げ、天ぷらの場合の使える目安
あくまでも目安として参考にしてください。
トンカツ、唐揚げ、天ぷらなどの揚げ物に使用する油の適切な使用目安は、揚げ物の種類や調理法によって異なります。それぞれの料理における油の使用目安を具体的に見ていきましょう。
トンカツ
トンカツの場合、衣が油を多く吸収します。これにより油が劣化しやすく、味や品質にも影響します。一般的には、トンカツを揚げた油は3回から5回程度の使用が目安です。油の色が濃くなったり、油の臭いが強くなる前に交換することが望ましいです。
唐揚げ
唐揚げは小さめのピースを揚げるため、油は比較的長持ちしますが、鶏肉から出る水分や血液が油を劣化させる可能性があります。唐揚げ用の油も3回から5回の使用が一般的な目安です。油が泡立つようになったり、不快な臭いがする場合は交換が必要です。
天ぷら
天ぷらは繊細な揚げ物で、清潔で新鮮な油の使用が非常に重要です。油の風味が直接食品に影響を与えるため、品質が落ちないよう、特に注意が必要です。天ぷらの場合、使用できるのは1回から数回が目安です。天ぷらを揚げた後は、油を濾して不純物を取り除くことが重要です。
油の管理と寿命の延長のヒント
- 濾過: 使用後は必ず油を濾して、食材の残りカスを除去します。
- さし油: 長期間使用する場合は、新鮮な油を少量ずつ追加することで、全体の油の品質を保つことができます。
- 温度管理: 揚げ物の際の油の温度を適切に保ち、高温すぎたり低温すぎたりすると油の劣化が早まります。
- 保存方法: 使用しない時は油を密閉容器に入れ、冷暗所で保存し、酸化を防ぎます。
これらに注意を払いながら、それぞれの揚げ物に適した油の管理を行うことが、美味しく安全な料理につながります。
まとめ
なぜ新しい油でも揚げ物中に泡が発生するのか、その理由と対策を見てきました。多くの人が油の劣化で泡が出ることは知っていますが、卵の成分が泡立ちの一因になることは意外かもしれません。次回の料理時には、これらの情報を参考にしてみてください。