絵を描く際や工作をする際に、肌色が必要になったときに、手持ちにぴったりの肌色の絵の具がなかったり、求めている肌色が作れなかったりすることはありますよね。
では、理想の肌色をどのようにして作り出すのでしょうか?
この記事では、絵の具を使って簡単に肌色を作る方法を詳しくご紹介します。さらに、色の調整のコツもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。
絵の具で理想の肌色を作るために必要なのは、3色だけです!
皆さんが普段見かける「肌色」の絵の具が市場に出回っていないことをご存知でしょうか?肌の色は人によって様々です。特に、人種が異なる場合、肌の色には大きな差があります。
近年、多様性や個性を重視する文化が浸透してきています。その結果、一般的な「肌色」という表現はもはや適切ではないとされています。この言葉の使用が見直され始めたのは2000年頃で、ペンテルや三菱鉛筆などのメーカーは、「肌色」を「ペールオレンジ」や「うすだいだい」という表現に変えています。
肌色の絵の具をお探しの方は、これらの色名に注意してみてください。
さて、実際に絵の具で肌色を作る方法ですが、非常にシンプルです。必要なのは「赤」「黄」「白」の3色です。まず赤と黄を混ぜてオレンジ色を作り、その後白を加えて明るさを調整します。一般的な配合は「赤1:黄1:白4」です。
日本人の肌には黄色味があるため、黄色は欠かせません。赤を少し加えることで、より健康的な印象を与え、白で明るさを加えます。この基本的な配合を試した後、自分の求める色に合わせて絵の具を追加して調整することをおすすめします。
個性的な肌色を絵の具で作る方法!
肌色を表現するための絵の具の組み合わせは、多様です。今から紹介する方法は、特に日本人の肌の色合いに合わせやすく、より自然に近い仕上がりを目指せます。
最初に紹介した「赤・黄・白」の組み合わせは、初心者や子供にも扱いやすい基本的な方法ですが、「もっと詳細に肌色を調整したい!」という方には、以下の2つの組み合わせを試していただきたいです。
①「赤・黄・青」
人の肌には微妙な青みが感じられることがあります。これは、体内の静脈が青く見えることに由来します。特に「ブルーベース」の人には、青色が肌色に影響を与える傾向があります。赤と黄色を基調に青を加えることで、透明感のある色白肌を演出できます。色の調整は、白を加えるよりも水を加えることで、より透明感を出すことが可能です。
②「茶・白・赤」
肌が色黒の場合や日焼けしているような肌色を目指す場合、茶色が役立ちます。まず茶色と白を混ぜて肌の濃い色のベースを作り、そこに赤を加えることで生き生きとした血色を表現できます。この方法では白を使うことで明るさを調節でき、透明感を出したい場合は、水での調整が効果的です。
結局のところ、「肌色」と一口に言っても、その色合いは人によって様々です。さまざまな絵の具の混合を試しながら、自分の理想とする肌色を見つけ出してください。
これまでご紹介してきたのは、「混色」と呼ばれる方法でした。これは、様々な色の絵の具をパレット上で混ぜ合わせ、新たな色を作り出す技法です。
しかし、色を表現する方法には、「重色」というもう一つの手法も存在します。この技法では、異なる色を一層一層重ねていくことで色を形成します。
混色技法ではあらかじめ混ぜた色を紙に塗るため、描画が軽やかでシンプルな印象を与えることができます。一方、重色技法では色を何層にも重ねていくため、より深みのある、重厚な印象の作品を作ることが可能です。
特に、透明感のある水彩絵の具では、重色技法が有効です。前に塗った色が透けて見えることが重要で、不透明な絵の具では同様の効果が得られにくいのが特徴です。
絵の具の技法を選ぶ際は、作品にどのようなイメージを求めるかによって、混色と重色を使い分けることが重要です。
肌色を重色技法で作る場合、リアルな肌の立体感を表現することができます。そのため、光の当たり具合や肌の凹凸を考慮して色を重ねる必要があります。
①光が最も強く当たる部分は、紙の白を活かします。
②影の部分には、青や紫の色を用います。
③光が当たる部分には、黄色を塗ります。
④血色をよく見せたい部分には、赤を使用します。
⑤全体を見て、必要に応じてさらに色を加えていきます。
このプロセスでは、ただ肌色を調整するだけでなく、周囲の環境や衣服からの色の反射も考慮しながら、色を丁寧に重ねていくことが大切です。
市販されている肌色絵の具のおすすめはどれ?
これまで肌色を自分で作るために、絵の具を混ぜる方法や重ねる方法を紹介してきました。しかし、実は市場には既に肌色として使用できる絵の具も多く販売されています。
「混色や重色を自分で試すのは少し難しい…」「時間がかかるのは避けたい…」と感じる方々には、完成された肌色絵の具を購入するのも良い選択です。
よく学校の図工の時間に使われる「ぺんてる」の絵の具は、特に有名です。ぺんてるでは「ペールオレンジ」という色が提供されており、これは過去に「肌色」とされていた色ですが、名称が変更されています。
また、「サクラクレパス」も図工の教材として一般的で、「うすだいだい」という色を提供しています。これも昔の「肌色」に相当します。私が子どもだった頃、これらの色を使って人物の肌を塗るのが一般的でした。
子どもたちが使用するには、「ペールオレンジ」や「うすだいだい」のような絵の具が適しているかもしれません。
さらに透明水彩での選択肢としては、「ホルペイン」がおすすめです。特に「ジョーンブリヤン」という色は、肌色に非常に近いと評価されています。ホルペインにはジョーンブリヤンのNo.1(色白向けの肌色)とNo.2(黄色味がかった肌色)があります。
このジョーンブリヤンという色は、ターナーやクサカベなど他のメーカーからも提供されており、それぞれ微妙に異なる色味がありますので、自分の好みに合わせて選ぶことができます。
他にも様々なメーカーが提供する絵の具がありますので、「自分が普段使っているメーカーに肌色はあるかな?」と気になったら、そのメーカー名に「肌色」というキーワードを付けて検索してみると良いでしょう。多くの選択肢が見つかります。
まとめ
今回は、絵の具を使って肌色を作成する方法を解説しました!
基本的には「赤、黄、白」の三色を組み合わせることで、簡単に肌色を作ることが可能です。
さらに、青や茶色を追加したり、水を加えることで、さまざまな肌の色調を作り出すことができます。
絵の具を層にして塗る「重色」技法を用いれば、青や黄色、赤を重ねていくことで、より立体感と深みのある人物画が描けます。
「自分で色を調合するのが難しい」と感じる方は、市販の肌色に近い絵の具を購入することも一つの方法です。ペールオレンジ、うすだいだい、ジョーンブリヤンなどの色は、肌色として適しています。
ご自身で描きたい肌の色に最適な絵の具を選んで、ぜひ挑戦してみてください!